戸籍を集め、預金の解約も済んで、残るのは不動産の名義変更だけ。富山でも、このご相談は少なくありません。相続登記は、書類がそろえばご自身で申請できる場合もあります。ただ、このご相談では、申請の前に見つかる問題がいくつかあります。よくある5つの問題点と、その確かめ方を順に整理します。

この記事の要点を1分の動画にまとめました。くわしい解説は解説動画(約8分)でご覧いただけます。

1|まず期限と、申請する法務局を確かめる

相続登記は、2024年4月1日から義務になりました。相続が始まったことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日から、3年以内に申請します。

2024年4月1日より前の相続も対象です。こちらは原則として2027年3月31日が期限です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります。

申請先は、不動産のある場所を管轄する法務局です。富山県内は次の4庁に分かれています。

法務局不動産登記の管轄所在地
富山地方法務局 本局富山市・中新川郡富山市牛島新町11-7
同 高岡支局高岡市・氷見市・射水市高岡市中川1-5-22
同 砺波支局砺波市・小矢部市・南砺市砺波市苗加353-2
同 魚津支局魚津市・黒部市・滑川市・下新川郡魚津市本町1-3-2

登記がその年のうちに終わらないときは、富山市では「固定資産現所有者申告書」を資産税課に出します。相続人であることを知った日の翌日から3か月以内です。

これは、相続登記までの間に納税通知書を受け取る代表の方を決める手続きです。登記の代わりにはなりません。義務化の中身は「相続登記の義務化」にまとめています。

出典:法務省「相続登記の申請義務化について」/富山地方法務局「管轄のご案内」/富山市「固定資産の所有者が亡くなった場合、どのような手続きが必要ですか」

2|よくある問題1・2|登記簿の名義と、漏れている不動産

問題1 名義人が祖父母のまま、登記上の住所と死亡時の住所がつながらない

まず、登記事項証明書で今の名義人を確かめます。書面で請求すると、1通600円です。

名義人が亡くなった方ではなく、祖父母のままのことがあります。この場合は、先に祖父母の相続から解きます。順番は「祖父名義のままの土地」をご覧ください。

登記簿上の住所と、死亡時の住所が異なることもよくあります。そのときは、住民票の除票や戸籍の附票などで、住所のつながりを示します。

何度も引っ越していると、取り寄せた書類に登記簿の住所が載っていないことがあります。申請の直前ではなく、早めに取り寄せて確かめます。

完済した借入金の抵当権が、登記簿に残っていることもあります。相続登記とは別に、抹消の手続きを考えます。

問題2 名義を変える不動産が漏れている

固定資産税の課税明細書は、市町村ごとに届きます。別の市町村にある土地は、手元の明細書だけでは分かりません。

富山市の名寄帳は、市役所の税証明窓口などで1件300円で取れます。相続人が請求するときは、相続関係が分かる戸籍などが要ります。LINE申請は所有者本人に限られ、相続人は使えません。

2026年2月2日からは、所有不動産記録証明制度も使えます。亡くなった方が所有権の登記名義人として記録されている不動産を、全国分まとめて一覧にしてもらう仕組みです。

全国どの法務局でも請求できます。手数料は、書面なら検索条件1件につき1通1,600円です。ただし、検索条件と登記記録上の氏名・住所が一致しない不動産は、一覧に出ないことがあります。調べ方は「親名義の不動産の調べ方」に詳しく書いています。

出典:法務局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」「主な手数料一覧」/法務省「所有不動産記録証明制度について」/富山市「固定資産税関係証明書等の申請」

3|よくある問題3|遺産分割協議書の不備

遺産分割協議書は、相続登記の中心になる書類です。申請の前に、次の点を確かめます。

  • 不動産の表示が、登記事項証明書と一字一句合っている(土地は所在・地番・地目・地積、建物は家屋番号など)
  • 誰がどの不動産を取得するかが、はっきり書いてある
  • 共有にするなら、それぞれの持分が書いてある
  • 相続人全員が実印で押印し、全員の印鑑証明書がそろっている

相続登記では、協議書に添える印鑑証明書に「発行から3か月以内」といった期限はありません。法務省の案内にも、そう書かれています。

不動産の書き方が登記簿と違うと、登記所から直しを求められることがあります。協議書を作り直すと、相続人全員にもう一度押印をお願いすることになります。

よく見つかるのは、遺産分割協議書の押印が不鮮明・欠けている、不動産の表示が登記事項証明書と一致しない、といった不備です。

ほかにも、相続人全員の現在戸籍がそろっていないケースがあります。被相続人の登記上の住所から死亡時の住所までのつながりを確認できないケースもあります。書類の再取得や相続人全員への押印の依頼で、数か月かかることもあります。

協議書に押印をそろえられない方や、判断能力に不安のある方が相続人にいるときは、手続きの順番が変わります。境目は「相続手続きは自分でできるか」で整理しています。

出典:法務局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」「不動産登記の申請書様式について」

4|よくある問題4・5|登記のない建物と、農地・山林の届出

問題4 登記されていない建物がある

母屋は登記されていても、増築した部分や車庫、物置が登記されていないことがあります。名寄帳と登記事項証明書を突き合わせると、見つかることがあります。

登記のない建物は、相続登記をする前に、建物の表題登記から始めます。不動産登記法は、表題登記のない建物の所有権を取得した人に、1か月以内の申請を求めています。

登記をしないまま、固定資産税の名義だけを変える届もあります。富山市では「未登記家屋名義人変更届」で、資産税課が窓口です。これは税の手続きで、登記の代わりにはなりません。

問題5 農地や山林の届出が漏れている

田や畑を相続したときは、農業委員会への届出が要ります(農地法第3条の3)。富山市では、権利を取得したと知った日からおおむね10か月以内(登記後)に届け出ます。

山林を相続したときは、面積に関わらず、所有者になった日から90日以内に市町村へ届け出ます。対象は、県の地域森林計画に入っている森林です。

富山市の窓口は、農地が農業委員会事務局、山林が森林政策課か農林事務所の農地林務課です。どちらも相続登記とは別の手続きで、登記を済ませたあとに漏れやすい届出です。

建物や農地・山林を含めて段取りを決めたいときは、「相続手続き・遺言のご案内」からご相談ください。

出典:e-Gov法令検索「不動産登記法」(第47条)/富山市「家屋補充課税台帳名義人変更届(未登記家屋名義人変更届)」「農地を相続などしたとき」「森林の土地の所有者届出制度」/林野庁「森林の土地の所有者届出制度」

5|登録免許税と、トマックがお手伝いすること

相続登記の登録免許税は、不動産の価額の0.4%です。価額には、課税明細書の「価格」か「評価額」を使います。

価額が100万円以下の土地は、2027年3月31日まで免税です。申請書に免税の根拠となる条項を書かないと、免税を受けられません。

書類がそろえば、相続登記はご自分で申請することもできます。法務局のページには、申請書の様式と記載例も載っています。一方で、次のようなときは、申請の前に一度ご相談ください。

  • 遺産分割協議書をこれから作る、または作り直す
  • 祖父母の名義のままの不動産がある
  • 登記のない建物や、農地・山林がある
  • 相続人の中に、押印をそろえるのが難しい方がいる

トマックは状況を整理し、手続きの進め方と順番をご案内します。行政書士の業務範囲で遺産分割協議書などの書類作成を支援し、登記については、提携する司法書士や土地家屋調査士と連携して進めます。

事務所は高岡市にあり、富山市をはじめ県内どこからでもご相談いただけます。これまでに進めてきた例は、複雑な相続の事例に載せています。

出典:法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」

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※ ご相談の窓口は行政書士法人トマックが務め、登記については提携する司法書士や土地家屋調査士と連携して進めます。

※ 本記事は2026年10月時点の制度にもとづいています。手数料や窓口の受付時間は変わることがありますので、手続きの前に各窓口でご確認ください。